ARX CHALLENGERS BLOG技術者ブログ

2023/09/07

SASとは何か?~今こそ知るべき統計解析ソフトウェア~

はじめに

皆さんこんにちは。ゆっくり霊夢です。嘘です。Yは健康になりたいと申します。
本記事では、ヘルスケア分科会の一環として調査した、近年世界的に注目を集めているSASというソフトウェアについて解説していこうと思います。
私も調査するまで「SASとは何ぞや?」という状態でしたが、調べてみると身近な業界でも活用されているということが分かりました。本記事で少しでもSASに興味を持っていただけると幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね!!

SASとは

SAS(Statistical Analysis System)とは、蓄積されたデータを取り出し、統計的手法等の様々な解析手法を用いてデータ分析を行い、データ解析や統計分析、解析結果の可視化等を行うことができるパッケージソフトの1つです。また、開発元の米SASインスティテュート(SAS Institute)社自体をSASと呼ぶこともありますが、本記事では、主にソフトウェアの方を指しています。
SASとは - 意味をわかりやすく - IT用語辞典 e-Words

また、データ分析機能をAPI経由で利用できる基盤ソフトウェアとして「SAS Viya」というものもあります。こちらはWeb API経由でデータ分析機能を利用することができ、またJavaやPython等のプログラミング言語からそれぞれのAPIライブラリを介してデータ分析機能を利用することもできます。
SAS、データ分析基盤「SAS Viya」を強化、セルフサービスのデータ整備が可能に | IT Leaders (impress.co.jp)

ライセンスについて

次にライセンスについて説明したいと思います。
開発元のSAS Institute社(SAS公式)のサイト内では以下のように記載されています。

ライセンス開始の年に「初年度ライセンス料」をお支払いいただき、次年度以降は毎年の使用分を「更新ライセンス料」としてお支払いただく事で、SASソフトウェアを継続してご利用いただく事が出来ます。

基本的には、契約が必要な一般的なサービスと大きく変わらない仕組みのようですね。
詳細ですが、初年度に限りライセンス料が必要となるようです。アップデート時には追加費用は不要なため、すぐに最新の分析手法やITの革新に対応する最新バージョンへアップデートすることが可能なようです。またテクニカルサポート(お客様相談室)は開始した初年度から利用可能で、別途保守契約を行う必要もなさそうです。

ただ原則として契約期間は1年となっており、次年度以降は更新ライセンス料が必要になります。が、契約更新期間の4ケ月前に「SASソフトウェアライセンス契約更新のご案内」が契約者宛に届くそうなので、直前になって焦る心配も無いと思います。更新時は、「製品使用許諾コード」も同時に更新となり、新しいコードが送付されるそうです。セキュリティ面でも徹底していますね。
契約 | SAS

業種別ソリューション

SASの活用事例は様々な業界であるようです。順に説明していきます。

アグリカルチャー

事例:ノースカロライナ州立大学がSASおよびMicrosoftと協力して農業が直面する課題に取り組んでいる

植物病害を検出するための小型センサーの開発(SAS Viya,Microsoft Azureを使用)を行っているようです。
「データを分析して作物の収量を増やし植物の害虫と闘いより回復力のある農業システムを開発する」ことが目的です。植物は、小さなアザミウマなどの昆虫に攻撃されて、怪我を負わされたときにVOCと呼ばれる揮発性有機化合物を放出するそうです。この放出されるVOCは害虫やストレッサーに応じて異なる組み合わせが存在しており、センサーがVOCを検知してSASの分析と組み合わせることができれば、重大な被害が発生する前に植物の病気を発見できるようになります。
ノースカロライナ州立大学がSASおよびマイクロソフトと提携し、植物病害の予測と食品リコールへの取り組みを発表 |昆虫学・植物病理学分野 |ノースカロライナ州立大学 (ncsu.edu)

最初は試験的にトウモロコシで試しているそうです。このセンサーが実用化されれば、作物の病気の原因や予測を知ることができ、収穫量の増加にもつながるので、とても良い取り組みだと思います。

銀行

事例:SAS Marketing OptimizationがScotiabankのウォレット・シェア拡大を支援

Scotiabankは、カナダの五大金融機関の1つです。この事例を簡単にまとめると、SASの導入前までは、単発のキャンペーンを年間5,6回開催していたそうですが、SAS Marketing Optimizationを導入した現在、 1年間に行うキャンペーンの数が飛躍的に増え、結果として売上の増加に貢献しているということです。
この事例で挙げられている、導入後のSASの利点として、以下があります。

・従来よりもリソースを有効活用できる
・マーケティング・コンセプトの最適化
・各事業部門へのリード配分の効率化
・部門間での調整にかかる時間の短縮

上記2点目から4点目までのプロセスは自動化されているので、分析チームが常にキャンペーン企画を書き直さなければならないといったこともなくなったそうです。

Scotiabank | SAS
補足:「SAS Marketing Optimization」は、ビジネスプランニングに関する複雑な課題を迅速に解決するために開発された、最適化ソリューションです。SAS Viyaと組み合わせて、モデリングした結果を素早く提示することができます。また似たソリューションで「SAS Marketing Automation」があります。こちらも多くの企業で導入事例があります。

SAS Optimization | SAS
この事例では、SASを導入してSAS Marketing Optimizationを活用したことで、顧客データを分類したり、最適化を用いて統計モデルを確認できるようになり、顧客行動が予測しやすくなった結果、売り上げ増加に繋がったということですね。

ヘルスケア

事例:Amsterdam UMC(アムステルダム大学メディカルセンター)がSAS® PlatformとAIソリューションを活用して腫瘍評価の速度と精度をともに向上

この事例は、SAS内にあるAIのディープラーニング(深層学習)機能を活用し、過去のがん患者(52名)から得られた、がん腫瘍の転移巣の画像データ(1380枚)を分析してセグメント化することで、「腫瘍の特徴を瞬時に特定し、重要な情報を医師たちと共有する方法」を学習させようとしたことが始まりです。
以前の評価方法では、医師が視覚的に把握できる事項に限界があったそうですが、作成されるAIモデルは腫瘍の総体積と各腫瘍の3D画像を提供するため、医師たちは救命手術が有効なのか、別の治療方針を選択すべきなのかをより正確に判断できるようになったそうです。
ガン治療、人工知能(AI)で新たな時代に突入 | SAS

ディープラーニングについては、私も大学の講義範囲ですが、学習していました。ですが、ここまで活用されている事例は初見でした。今後、よりAIの精度が向上し、患者の生存率の向上につながってくれることを期待しています。

他の業界でも活用事例はありますが、内容が多くなってしまうので、他の事例を知りたい方、深堀したい方は以下を参照いただければと思います。
業種別ソリューション | SAS

SASを学習するには

SASには独自のプログラミング言語があります。名前はそのまま「SAS言語(SAS Language)」です。
また、SASにも認定資格が存在しており、例として「SAS Base Programming Specialist」があります。
では、学習するにはどうすればよいのか? 実は、SAS公式から以下のサービスが利用できます。
名称:SAS OnDemand for Academics
特徴:
 ・クラウド上で利用可能
 ・インストール作業や更新作業が不要で、いつでも最新のプログラムが使用可能
 ・PCがインターネット接続されていて、ブラウザが利用できる環境ならばOSに依存しない
 ・Windows、Linux、Macで実行可能
 ・誰でも無料で利用可能

利用までの流れは以下です。
 1.SASプロファイルを登録する
 2.SAS OnDemandを登録する
 3.SAS Studioの利用開始
SASプロファイルを登録する必要がありますが、無料です。安心して下さい。
使用ツールですが、「SAS Studio」というブラウザで開くツールを使用します。先ほど例として挙げた「SAS Base Programming Specialist」等のSAS認定資格でも使用できます。資格取得まで視野に入れている方は、「SAS Studio」を使い慣れておくと良いと思います。
以下のサイトの手順に従って進めると、利用できるようになると思います。
「SAS OnDemand for Academics」(無償)の利用方法|ソフトの利用方法|各利用方法、マニュアル|利用方法|東京経済大学情報システム課 (tku.ac.jp)

また、UdemyにSAS言語を学習できる講義動画がありましたが、そちらでも利用可能までの手順は、動画内で最初に説明していたため、動画を視聴しながら進めることも1つの方法だと思います。ただ動画の方では、若干異なる画面が出ることがあるので、そちらはスキップして進めて下さい(教員用や学生用といった区分があるため、動画の講師の環境と権限が異なっているからと予想しています)。

まとめ

SASの説明と活用事例、またSAS言語の学習方法について記載しましたが、いかがだったでしょうか。
今回はヘルスケア分科会の活動の一環として調査を行い、執筆しましたが、初めての技術者ブログ執筆ということもあり、至らなかった点があると思います。現在進行形で学習中ですので、ご理解いただけますと幸いです。ご感想、ご意見もお待ちしております。
今回紹介した活用事例以外にも、製造や官公庁などの業界でも活用されています。まだ実用的ではなく試験段階の事例もあるかと思いますが、今後活用され、発展していく可能性は十分にあると思います。是非調べてみて下さい。

本記事で少しでもSASについて興味を持っていただけたならば幸いです。
ここまで閲覧いただきありがとうございました。

Yは健康になりたい

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