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2022/05/12

DXリテラシーとは ~なぜ、今DXリテラシーが必要なのか~

DXリテラシーとは

DXリテラシーを一言で説明すると「DXを正しく理解し、その知識を活用できる能力」のことです。
この説明ではあまりに大味なので、「正しく理解し、活用する」とはどういう意味なのかより詳しく説明していきます。

• そもそもDXとは

DXの意味ですが、経産省が出している「DXリテラシー標準」のポイントによると、「ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と言えます。
要するに、「デジタル技術という手段で、変化の激しいビジネス環境において変革起こし、市場の競争に負けず成長し続けること」です。

なお、DXの意味についてより詳細に知りたい場合は、技術者ブログ「DXを知り、変革する!!」の記事をご覧ください。

• DXリテラシーがある状態とは

前述したDXの意味を基にDXリテラシーの意味を考えると、大まかには次の3つの要素で構成されていると言えます。
 1.ビジネス環境の変化に関して理解すること
 2.データ・デジタル技術に関する知識を習得すること
 3.ビジネス環境でデータ・デジタル技術を適切に活用できること。

上記3つが備わった状態こそDXリテラシーがある状態つまり、「DXを正しく理解し、その知識を活用できる能力」があるということになります。

ITリテラシーとは何が違うのか?

「DXリテラシー」とよく似た言葉に「ITリテラシー」というものがあります。
これらは混同しやすい言葉ですが意味は異なります。
ITリテラシーとは「世の中にどのような情報技術(IT)があるかを知り、企業・業務の活動に情報技術(IT)を適切に活用できる能力」のことです。
一方で、DXリテラシーとは「情報技術(IT)を活用できる能力を前提として、社会環境・ビジネス環境の変革に向けた行動ができる能力」のことを言います。

• なぜDXリテラシーが今、企業にとって必要とされるのか?

DXリテラシーが必要な理由は、企業がDXを進めていくために社員一人一人のDXリテラシーの有無が重要になるからです。
DXを実現するためには「目的」を明確にし、それに対して最適な「手段」を選択することが大切になります。
例えば、DXリテラシーがない状態でDX推進を行った場合を想像すると、数多あるデジタルツールの中から適切なツールを選択することができず、DXの推進が中途半端な状態で終わってしまうことが想像できます。
また、DX推進を担当する社員のみDXリテラシーが有る状態では、社内全体のDX化の際に、DXリテラシーが無い社員に対して正しくDX化の目的が伝わらずにDX推進に失敗してしまうことも考えられます。
そのため、社員全員がDXリテラシーを持つことがDX推進を成功させるために必要不可欠と言えます。

また、今はDX推進活動を行っていない企業でも、今後DXへの取組が必要となる場面が出てくることは容易に想像できます。
そのため、必要になった時への対策として、今のタイミングからDXリテラシーの教育に力を入れることは必要であると言えるでしょう。

• DXリテラシーは個人にとって必要なのか?

企業にとって、社員一人一人がDXリテラシーを身につけさせることは大切であると説明してきました。
では、その社員一人一人つまり、個人にとってDXリテラシーを身につけることは必要でしょうか。
結論から言うと、身につけなければならないものになると思います。
現状、DX推進による環境変化は大きく、わかりやすいところでは、数年前まで珍しいものであったテレワークも、今や当たり前な働き方のスタイルとなってきています。
他にも「DX推進 事例」などで検索するだけで、様々なデジタル技術を活用したこれまでにない取り組みが行われていることが確認できます。
このように、企業の活動の可能性が広がったことにより、異業種や海外からの参入が当たり前になりつつあり、競争環境に変化が現れています。
そのため、これまで通りでは対処できないことも増えるのではないかと予想できます。
これらのことから、よりよい社会人としての生活を送っていくためにはDXリテラシーを身につけていくことが必要であるといえるでしょう。

DXリテラシーを身につけるためには

DXの推進のためには、DXリテラシーの習熟が不可欠であることをこれまで説明してきました。
しかし、実際にDXリテラシーを身につけようと思っても、何をしていいのかわからないかと思います。
何に取り組む必要があるのかの指針となるものとして、経産省の「DXリテラシー標準」の中で「DXリテラシー標準の全体像」という4つの項目がありますので、それを基に解説していきます。

まず、4つの項目とは以下の通りです。
1.マインド・スタンス
2.Why - DXの背景
3.What - DXで活用されるデータ・技術
4.How -データ・技術の活用

これらの項目ごとにどのような学習や取り組みが必要とされているのかをそれぞれ大まかに見ていきたいと思います。

➤マインド・スタンス

「社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインド・スタンスを知り、自身の行動を振り返ることができる」ことがゴールであると定義されています。
なお、「マインド・スタンス」という言葉が分かりにくければ、「DX化社会の中でどのような方針で活動(経営)するか」という意味に読み替えても問題ないかと思います。
上記のゴールに近づくうえで最も大切なことは、組織・企業がはっきりとしたマインド・スタンスを示すことです。
ゴール自体は「自身の行動を振り返ることができる」と個人をメインにしたような内容になっています。
しかし、組織・企業に所属する個人が「行動を振り返る」ためには、行動を振り返るための基準が必要になります。
そのため、組織・企業が今後どのようなマインド・スタンスを重視するのか、従来からある強みの中で今後も生かしていく部分はどこになるのかをはっきり示すことで、個人が「行動を振り返る」ことができるようになります。
もし、マインド・スタンスが示されないままの場合で、個人で何かDXの新しい考え方を学んだとしても、組織・企業の中で学んだ内容を活かすことができず、学習意欲の低下につながる可能性があります。
また、個人がそれぞれの思いで学ぶため方向性がブレてしまい、DX推進の足かせになってしまうことも懸念されます。

マインド・スタンスというのは、DXを学ぶうえで土台となる部分です。
そのため、始めにしっかりと取り組む必要がある部分だと言えます。

➤Why - DXの背景

「人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解している」ことが
ゴールであると定義されています。
「ニュース等から世の中の出来事を把握するようにしろ」といった内容は社会人の常識としてよく語られるかと思いますが、ざっくりと言えばこの常識のDX版といったような意味です。
なぜ、DXを意識した情報収集を行う必要があるかというと、デジタル技術を利用したサービスの登場が当り前になってきており、今後デジタル技術の進化によって、より異業種や海外からの新規参入のハードルが下がることが予想できるからです。
例えば、中古品に関して一昔前は、お店に持って行って売り、それを誰かが買うようなスタイルが一般的でした。
しかし、今ではインターネット上でお客様同士でやり取りするやり方あります。
このように、これまでとは違う相手とサービスを競う必要が出てくるため、環境の変化に目ざとくなる必要があります。

個人個人がDXの背景を意識し学ぶことによって、どのような影響が今後自分の働き方に出てくるのか、もしくは必要になるのかを考えることができるようになります。
また、組織・企業レベルにとっては、DX化社会の中で、自社がどのような影響を受けて、どのような対策が必要となるのかを社員に示すことができるようになります。

➤What - DXで活用されるデータ・技術

「DX推進の手段としてのデータやデジタル技術について知っている」ことがゴールであると定義されています。
データやデジタル技術にどのようなものがあるのかを知らないままでは、DX推進時のツール選択の幅が狭くなります。
これでは、組織・企業にとってより良い形でもDX化が困難になります。
また、社員一人一人のデジタル技術への知識がなければ、新規導入の際にハードルが高くなるリスクがあります。
そのため、DX推進を実行する前段階として、世の中にはどのようなデジタル技術が存在しているのかを幅広く知っておくことが大切といえます。
組織・企業においては、今後のビジネスにおいて必要となるデジタル技術を社員に学ぶ機会を提供することも大切です。
いきなり、活用したいデジタル技術を社員に対して展開しても、多くの場合は困惑を生むのみとなり、中々浸透していきにくいことが予見されます。
そのため、今後活用していきたいデジタル技術を学べる機会を提供し、来るべきDX化に備えることが大切となります。

DXで活用されるデータ・技術については、技術者ブログ「DX業務改善ツール解説!~業務改善を支える技術とおすすめツール10選~」の記事もご覧ください。
様々なツールの解説を行っていますので、お時間があれば合わせて読むことで理解が深まるかと思います。

➤How -データ・技術の活用

「データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの活用方法を身につけたうえで、留意点などを踏まえて実際に業務で活用できる」ことがゴールであると定義されています。
どのようなデジタル技術があるかというよりも、実際に業務で使う上でどのように注意する必要があるのか。
どのようなツールを使えば効率よく業務を行えるのかといった実践的な段階の話になります。
この取り組みのためには、デジタル技術を実際に利用する前にセキュリティ・モラル・コンプライアンス上問題がないのかを確認する必要があります。
そのためには、利用しようとしている技術がどのような技術であるかを正しく理解している必要があります。
この理解を怠ると、使用方法の誤りで予期しない情報流出やデータの改ざん等が発生してしまう可能性があります。
また、効率的に業務を行えるようにするためにも、ツールごとの特徴を理解する必要があります。
上記理解を怠ることで、ツールを導入したのに、導入した部分以外で余計な仕事が発生してしまいます。
そのため、トータルで見たときにより時間がかかるようになってしまう懸念があります。

DX推進において、新しいデジタル技術の導入は避けられないものになります。
そのため、組織・企業が率先して社員一人一人のデジタル技術の理解を深める教育機会に力を入れること。
そして、セキュリティ・コンプライアンス教育に関しては従来通りのものに加えて、今後活用するデジタル技術の内容に合わせたアップデートを行うことが大切になります。
個人においては、実務をより効率的の行えるツールの活用方法を考えたり、実際にツールを使う上でどのようなことに留意しなければならないのかを考えたりすることで、DX化の際に戸惑うことなく対応できるようになるため、個人レベルでの学習も大切といえます。

まとめ

今後、DX化は様々な分野で加速していくことが予想されます。
そのため、どのような人であってもDXというキーワードに無関係でいることは難しいでしょう。
DXと聞くと難しいことのように感じるかもしれませんが、調べてみると案外身近な実例がたくさんあり、自分が普段行っている業務に近いものもあるかと思います。
そのようなものから、学び始めてみると案外簡単に理解できるかもしれません。

また、本記事中で何度か触れた経産省の「DXリテラシー標準」の中には具体的な行動例・学習項目例が記載されています。
学び始める上での手がかかりになるのではないでしょうか。
本記事でDXリテラシーについての何かしらの足掛かりとなったのであれば幸いです。

佐藤(祥)

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